80年代に海外で流行した「大型ラジカセを担いで持ち歩き」の現代版かも
デジタルデバイスと共にあるライフスタイルには欠かせないのが、バッテリーです。昨今では「バッテリーを搭載したバッグ」と聞いても、製品がいくつか登場している点もあり、真新しさは感じられなくなってきつつあります。
しかし、ソーラーパネル付きで、さらにBluetoothスピーカー機能を持ち合わせていたらどうでしょう。なおかつ、セキュリティーロックや隠しポケットなど12の機能もつけちゃう! と聞けば、Engadget読者の皆様も興味が沸くのではないでしょうか。
今回は、こんな気前のいい多機能バックパック「Lifepack」(ライフパック)が登場したと聞いて、開発者に話をうかがってきました。
筆者がLifepackを見つけたのは、ドイツ・ミュンヘンで2月に開催されたスポーツ・アウトドア業界の見本市「ISPO」(イスポ)にて。とある展示ブース前に置かれたスピーカーにガジェットの臭いを嗅ぎつけて訪ねてみると、案の定興味深い製品でした。
スピーカーの正体は、ソーラーパネルと表裏一体となったモバイルバッテリー機能搭載「ソーラーバンク」。そのソーラーバンクが収まるバックパックとして展示されていたのが、このライフパックだったというわけです。
ライフパックの機能のうち、スピーカーやバッテリーなどはソーラーバンク側に搭載されるため、ライフパックにはソーラーバンクが同梱されています。
ソーラーバンクの重さは513g。バッテリーは、フル充電でiPhoneチャージ6回分、公称では「Bluetoothスピーカー部を連続96時間使用できる」容量で、側面にはAUXジャック(3.5mm)、USBポート(2.4Aと1.0A各1口)、Micro USBポートが備わっています。
ソーラーパネルは日光下での充電がベストですが、曇天でも充電可能ということです。
彼女のために開発
ライフパック開発のきっかけは、創設者のエイドリアン・ソルガード氏が彼女とスペイン・バルセロナでデート中、彼女のバックパックが盗まれてしまったこと。
まずは鍵付きのバックパックを作ろうと考えたソルガード氏、「どうせ作るならさらに必要なものを詰め込んじゃえばいいのでは」と機能満載のライフパックの開発に至ったのだそうです。
実はこのように、防犯面を強化するということが開発の第1目標だったため、ライフパックには機能の多さのみならず、持ち物を保護する機能にも優れています。
鍵付きであることは当然として、まずバックパック表面の生地は撥水加工が施され、その下の層は刃物の切りつけに耐えるプラスチック層がレイアウトされています。さらに次の層は4mm厚の耐衝撃フォームを装備しており、油断のない保護性能です。
収納力という点でも優れもの。背中のクッション両側に内蔵されたポケットは、パスポート大の物を収納できるサイズ。両ショルダーベルトにも、コインやイヤホンなど小物を入れられるジッパー付きポケットが配されています。
また、ライフパックの片側サイドポケットには、ソーラーバンクのバッテリーとケーブルで接続されたUSBポートを装備。ポケットに入れながらスマホなどの充電をすることができます。
都会に似合うスマートなデザイン
これだけたくさんの機能が搭載されていても、デザインはあくまで都会に似合うスマートな雰囲気。スピーカーを持ち歩く......というと、80年代の映画で不良ぶったお兄さんたちが大きなラジカセを持ち歩くイメージがあった筆者ですが、ライフパックはソーラーバンクを格納してもすっきりとした見た目です。
そもそもの開発理由が「彼女のため」ということだったので、女性が背負っても大きすぎず背中にもフィットするサイズなのもポイントです。
カラーは「タイタニアムグレー」と「ステルスブラック」の2色展開。ライフパックのコンパートメントは、大きく分けて仕事ゾーンとライフゾーンの2つになったタイプ。背中側の仕事ゾーンには、PCスリーブのほか、書類や名刺をそのまま入れられるファイル型スリーブが備わっています。
ライフパックは、2016年2月に「キックスターター」でプロジェクトをスタートさせた後、およそ1年で製品の出荷を達成。2017年3月現在は、269ドルの価格でオンラインで一般販売されています(ソーラーバンク込みの価格で、日本への発送も可)。
このように仕様を細かく見ていくと、単に機能だけでなく、実用性もかなりのもの。PCやガジェットを多数持ち運んでおり、とくにモバイルバッテリーの扱いを便利にしたい......と考えているバックパック派の方には、検討の価値ありと呼べる製品です。